「動脈硬化」を予防・改善させる運動について、日本トレーニング指導者協会の講演を聞いてきたので、シェアします!!

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もうすでにメタボかも!?っていう方、もしくはメタボになりつつある方に・・特に必見ですよ!!

2015年5月31日に、日本トレーニング指導者協会の総会・研修会&講演会に参加してきたのですが、その中の講演でありました前田清司先生(筑波大学体育系スポーツ医学教授)の「定期的な運動と動脈硬化」がものすごく勉強になりましたので、シェアしたいと思います。

2014年度の総会・研修会・講演会の画像

(写真素材:日本トレーニング指導者協会-JATI

ちなみにですが、この講演の内容は75分もありましたので、かなり広い視点かつグッと中身の詰まったものとなっています。その中で、これだけは見逃せない!という部分を取り上げていますので、ご了承ください。

※しかも、今回はその内のVol.1です(笑)。

動脈硬化=老化

-加齢によって動脈が硬くなる

ウィリアム・オスラー博士(1849~1919)によると、「人は血管とともに老いる」と言われています。つまり、私たちは年齢を重ねていくごとに、血管が硬くなって、老化していくのです。

動脈硬化の何が恐い?

-日本の死因の上位二つは、動脈硬化が原因

日本の死因ベスト5は、1位がん、2位心疾患、3位肺炎、4位脳血管疾患、5位不慮の事故。その中で2位の心疾患と4位の脳血管疾患は、動脈硬化が原因で起こる病気です。

また、実は寝たきりになる原因の3~4割は、脳血管疾患です。その次に多くを占める認知症も動脈硬化が原因で起こりやすくなると言われています。

つまり・・・

『年をとる⇒動脈が硬くなる⇒心疾患や脳血管疾患の発症⇒死・寝たきり』

という”魔”の流れができてしまうのです。

動脈が硬くなるのを、防ぐことができれば・・

心疾患や脳血管疾患による死亡のリスクを軽減でき、脳血管疾患による寝たきりや認知症を防ぐことができます。

運動は、動脈硬化を改善できる??

「はい!」運動によって、動脈が硬くなるのを防ぐことができます。しかし、運動のやり方によっては動脈硬化を促進する恐れもあります。

どんな方法で、動脈の硬さを評価しているの?

どの運動だと効果があって、どんな運動だと逆効果になってしまうのか。当然、ある方法で評価をしています。今回お話しているデータについては、下の二つの方法によって出てきた結果によるものです。

①動脈コンプライアンス

⇒動脈の柔らかさをみるものです。この数値が高いほど動脈が柔らかいことになります。

②脈波伝播速度

⇒動脈の硬さをみるものです。この数値が高いほど動脈が硬いことになります。

 要するに、動脈が柔らかくなる(動脈硬化が予防・改善している)のは、動脈コンプライアンス↑↑↑、脈波伝播速度↓↓↓になっているということです。

では、どんな運動をすると動脈は柔らかくなるの・・・?

ここでは、3つのデータを紹介します。

①2ヶ月間の自転車トレーニングを行った若者たちは、動脈が柔らかくなった。

(Kakiyama,Maeda,et al.,Med Sci Sports Exerc2005改変)

②6か月間の自転車トレーニングを行った高齢者は、動脈が柔らかくなった。

(Maeda,et al.,Hypertens Res 2008改変)

③3ヵ月間のウォーキングによって中年の肥満男性は、動脈が柔らかくなった。

(Miyuki,Maeda,et al.Am J Cardiol.2009改変)

この3つのデータによってわかったことは、定期的な有酸素運動を行うことで、動脈柔らかくなるということです。

しかし・・運動のやり過ぎは逆効果!?

運動をやり過ぎることで、逆効果になるということはありません。

が、しかし・・結論からいうと、ある一定の運動量(日々の生活動作も含む)を超えると動脈を柔らかくするという効果が頭打ちになります。

比較的年齢層の高いデータになりますが、65歳未満の中年層から74歳までの前期高齢者では、1日の運動量が約300kcalで、また75歳以上の後期高齢者では、約200kcalでその効果が頭打ちになります(前田ら、文部科学省技術振興調整費報告書、2005)。つまり、いっぱい体を動かしたからといって、それ相応の効果が出るわけではないということです。

ちなみに、300kcalを消費する運動はというと、体重60kgの男性(※)の場合「8000~1万歩」ぐらいになります。同じように体重60kgの人が300kcal消費するための運動を紹介しているものがあったので、よかったらどうぞ(※60kgの男性と表記していますが、筋肉量などの違いがあるにせよ女性においても、ほぼ同じことが言えると思います)。

運動の強度は、関係あるの?

有酸素運動といっても、確かに息があがるキツイ運動もあれば、全く息の乱れることのない軽い運動もあるでしょう。果たして、動脈を柔らかくすることに強度は関係あるのか?

答えは、「あります!!」です。

アメリカの心臓協会アメリカスポーツ医学会では、「毎日、中強度の有酸素性運動を1日30分以上」が推奨されています。

そして現に、中強度(3~5メッツ)の有酸素性運動を1日30分以上行っている人の動脈は、30分未満の人と比べて柔らかいというデータがあります。

(前田ら、文部科学省技術振興調整費報告書、2005)

さらに、高齢者については低強度(3メッツ未満)の日常生活動作であっても、動脈が柔らかくなることがわかりました。

(Gando et al.,Hypertension 2010)

ここでちょっと耳慣れない言葉、「メッツ」について説明すると・・・

METs(メッツ)とは「Metabolic equivalents」の略で、ある身体活動や運動を行った時に、その運動が安静状態(※)の何倍のカロリー消費(代謝)をしているのかを表すものです。例えば、あなたが家の中で歩くとしましょう。それは2.0METsになりますので、安静時の時の2倍のカロリー消費になるということです。(※安静状態は、何もせずに静かに座っているような状態です)

また、同じ歩くをとっても、「犬の散歩3.0METs」「通勤・通学4.0METs」「歩行(6.4km/時のとても速い)5.0METs」「後ろ向きに歩く8.0METs」「階段を速く上る8.8METs」など細かく分類されています。詳しくはこちらをどうぞ。

ということで・・動脈を柔らかくするためには、「後ろ向きに歩く」や「階段を速く上る」ような運動では強度が高すぎるために、不向きであることがわかります。

こんなデータも・・・番外編!?

中高齢者では、身体の柔軟性が高いほど動脈が柔らかいという結果もあります。

(Yamamoto et al.,Am J Physiol.2009)

やっぱり”ストレッチ”ですよ(笑)

まとめ

という感じで、かなり有益な情報を得ることができたと思います。日本ではメタボについても様々な対策が打ち出されていますが、メタボも言ってみれば、動脈硬化の危険性が高まることが要注意なわけです。できることなら長生きしたい!そして、健康的な身体でいたい!のであれば、やはり運動が大切だということがわかりました。でも、だからといって何でもかんでもやればいいということではなくて、運動の時間にしても、強度も「適度」が一番であるということです。

運動というと、汗をかかないと意味がない筋肉痛にならないと効果がない長くやらないとダメ。とハードルがどんどん上がっているような印象がありますが、楽しみながら体を動かすことの”爽快感”や”気持ち良さ”を感じるぐらいで良いのではないでしょうか。

さぁ、からだを動かす楽しさを一緒に感じよう!!

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